議会基本条例制定報告会
更新日:2009年8月6日
所沢市議会では3月定例会において制定した議会基本条例の概要について、市民の皆さんに報告を行うため、「議会基本条例」制定報告会を開催しましたので、その概要を報告いたします。
当日の会場風景
- 開催日時 平成21年5月24日(日曜)午後2時から午後4時20分
- 場所 所沢市役所8階大会議室
- プログラム内容 1.所沢市議会基本条例について/2.市民の皆さんとの意見交換
- 参加者 97人…当日はあいにくの雨模様にかかわらず、熱心な市民の皆さんにご参加をいただきました。
「議会基本条例」制定報告会概要
安田議会運営委員長の司会進行で開会し、冒頭、小川議長が、条例制定にあたっては多くの市民の皆さんにご協力をいただいた旨の感謝の意を含め、挨拶を行いました。
写真はいずれも当日の会場風景
1.所沢市議会基本条例制定について
配布資料やプロジェクターによる画面を参考にしながら、荒川議員、石井議員、桑畠議員、村上議員が制定に至る経過やその内容について説明を行いました。
条例制定の背景
市議会は、日本国憲法によって定められた市民を代表する唯一の議事機関であり、地方自治法第96条第1項に規定する議決事件に留まらず、法律に反しない限り、議決すべき事件を定める権限等を有します。また、二元代表制の下、市長等執行機
関との健全な緊張関係を保持しながら、立法・監視機能を十分発揮し、地方自治法の実現を目指さなくてはなりません。
平成12年4月に施行されたいわゆる地方分権一括法により、国と地方公共団体の関係は「対等・協力」の関係へと変化し、本市が自らの責任において、その組織及び運営に関する様々な決定を行うことを可能としました。また、平成19年4月の「地方分権改革推進法」の施行により、住民から選ばれた代表で構成される議事機関としての議会の役割の重要性はさらに高まりました。
所沢市議会は、平成9年4月、全国に先駆けて議員提案により「ダイオキシンを少なくし所沢にきれいな空気を取り戻すための条例」を制定し、また、政務調査費の使途の明確化、政治倫理規程の制定など、議会改革にも取り組んできた経験があります。
これからの議会を考えるとき、議会としてあるべき姿、議会運営の基本的事項を定める議会基本条例が必要であると考え、議会基本条例制定に関する特別委員会を設置して、所沢市議会にふさわしい条例について議論してきました。
こうした経過を踏まえ、議会及び議員の説明責任、議会諸活動への市民の参加、議員相互の自由闊達な議論のほか、積極的な政策立案・提言を行っていくことを位置づけるとともに、これまで積み重ねてきた改革への取り組みを確かなものとするため、本条例を制定しました。また、併せて、所沢市議会の議決すべき事件を定める条例を制定しました。
条例のおもな内容
所沢市議会基本条例では、議会運営に関する次のような基本事項について定めています。
- 1 議会及び議員の活動原則
- 2 市民と議会の関係
- 3 議会と行政の関係
- 4 議会における審議
- 5 議員間の自由討議
- 6 委員会の活動
- 7 政務調査費
- 8 議会及び議会事務局の体制整備
- 9 議員の政治倫理、身分及び待遇
条文に盛り込まれた特記すべき事項をご説明します。
- 議会報告会 市政の課題全般について、市民と情報や意見の交換を行う場の一つとして、議会報告会の実施を定めています。
- 意見提案手続 市政に関する基本的な政策等の策定にあたって、市民が意見を提出する機会として、意見提案手続(パブリックコメント)を行えることを定めています。
- 一問一答方式 議員から市長等に対する議案質疑および一般質問は、市政の課題に関する論点や争点を明確にするため、一問一答の方式で行えると定めています。
- 反問権 地方自治法第121条の規定に基づき、議長から出席を求められた市長等は、議長または当該委員会委員長の許可により、質問した議員に対してその論点を整理するため逆質問できる、いわゆる「反問権」について定めています。
- 論点情報の形成 議会は、議会に提案される重要な政策等について、政策水準を高める議論が行われるよう、その政策の提案者である市長等または議員に対して、情報の提供を求める項目を定めています。
- 議員間の自由討議 議案の審議等をする場合、議会としての機能を発揮するために、議員間で自由闊達な議論を行うよう努め、審議や議論を尽くさなければならないと定めています。
- 政策討論会 議員が一堂に会する政策討論会を行い、二元代表制の一翼を担う議会としての責任と意欲を高め、市長提出議案等に限らず、特定のテーマについて各議員が活発に意見交換することを定めています。
- 議員研修会の充実強化 議員の資質向上のため、議員研修を充実強化するよう努めなければならないと定めています。
- 附属機関の設置 市政全般について、審査、諮問、調査のため必要がある場合、別に条例で定めて、附属機関を設置できると定めています。
所沢市議会では、本条例制定を機に、より一層議会の活性化を図るとともに、議会および議員の責務を自覚しながら、市民の皆さんの負託に応えられる議会を目指し、全力で取り組んでいきます。
2.市民の皆さんとの意見交換(概要)
意見交換については、市民の皆さんから、議会報告会、政策討論会、この条例を担保する具体策、議会の監視機能などのほか、色々な角度からさまざまな意見、感想、ご要望をいただきました。主な意見交換は次のとおりです。
1.議会報告会、政策討論会、閉会中の文書質問、会派、基本条例のパンフレット作成について
- 議会報告会については、1・2回ではなく是非、年何回かやっていただきたい。
- 議会報告会とは別に政策討論会を行っていただきたい。
(回答)
現在、議運で3月議会後とそれ以外のいずれかの定例会後に1回報告会を開くことで、その運用を協議しています。また、政策討論会、閉会中の文書質問、会派についても現在慎重に議論中です。
条例の表現では努力規定もありますが、基本的な考え方は、責務を自覚しながら、市民の負託に応えられる議会を目指し、全力で取り組んでいくものです。また、原則公開、ホームページ、議会報のほか、さまざまな機会を捉えて、より一層議会活動を市民に周知していくことです。なお、基本条例のパンフレットについては、時期は未定ですが必ず作って参ります。
2.この条例を担保する具体策、議会の監視機能、見直し手続きについて
- 条例を担保するアクションプランを作っていこうとしているのか。
- 何を対象にして、どのように監視するのか。
- 見直し手続きの規定は、どのような対応か。
(回答)
担保する具体策については、現在議会運営委員会などを通じて検討を重ねていますが、できる範囲からやっているところです。監視機能については地方自治法に明文化されていないため、再確認し明確にしようということで、前文や該当条項に盛り込みました。
今後も執行機関との健全な緊張関係を保持しながら、さまざまな情報から議会審議の論点情報の形成を図り、議案の中身を掘り下げていきます。
なお、条例の見直しについては時期を見て行っていくということです。
3.全会一致と多数決について
委員会表決の全会一致がマイナスに働いている。多数決の規定を有効に機能させるべき。
(回答)
委員会も本会議と同様に多数決で決するものですが、ご質問の全会一致は議会運営上、あるいは議会全体としての決定となるようなものを十分な議論の中で特別に取り決めているものですので、ご理解をいただきたいと思います。
4.ユニバーサルデザインという意味をどう捉えているのか。また、パブリックコメント手続きについては、具体的な方法を議論したのか。
(回答)
ユニバーサルデザインについては、すべての人に対応できるような設定ということです。パブリックコメント手続きについては、広く市政全般にわたるものも含んだ基本的な政策の策定等に当たり、意見提案手続を行うことができるとし、手続き要綱を定めました。
5.その他
自治法第96条第2項の考え方について
(回答)
議決すべき事件を必要に応じて容易に追加できる形式の新たな別条例「所沢市議会の議決すべき事件を定める条例」として整理しました。
- 勉強していただく拘束力のある研修会を期待したい。
- 付帯決議を付けただけで終わりとしないで、是非具体的にフォローしていただきたい。等々。
写真はいずれも当日の会場風景
※秋田議員、西沢議員、平井議員、中村議員、石本議員、浜野議員、水村議員脇議員の8人の議員から今後の対応の姿勢・考え方等についての発言がありました。
最後に、水村副議長が、制定に注いだ熱い思いを忘れず、条例をより一層すばらしいものに仕上げていきたい旨の閉会の挨拶を述べ、報告会を閉会しました。
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