夏の赤とんぼナツアカネ【ふれあいの里だより(令和元年8月号)】

更新日:2019年8月1日

今年は梅雨明けが遅く10日もたたないうちに8月8日は『立秋』。残暑の候となります。本格的な暑さはまだまだ続きますが、少しずつ早くなっていく日暮れの時間や空の雲などに秋の気配を感じられるようになってきます。
青い空に赤とんぼといえば郷愁を誘う秋の景色ですが、赤とんぼの仲間ナツアカネの姿がセンター周辺でこの時季観られます。
ナツアカネはトンボ科アカネ属で、中国中部、台湾、朝鮮半島など極東中部に分布します。国内では北海道から九州までの平地、低山地の湿地や水田に広く分布し、種子島、奄美大島、西表島にも記録があります。
体長は38ミリメートル程度、水辺で羽化した後は近くの林などに移動し、成熟するまで餌となる昆虫類を食べ続けます。成虫は6月中旬頃から12月上旬ころまで見られます。
雌雄連結して産卵しますが、飛びながら水田の上や湿地などの周辺の草原などで腹端を振って卵を振り落とす打空産卵です。時には交尾を終えメスだけで産卵していることがあり、たいていの場合しばらくはオスが上空で警護しています。空中からばらまかれた卵は雨が降ると流されて水中へとたどり着きます。水中に卵を産む姿はよく知られますが、この方法も賭けのようですが理にかなっているといえます。水のない水田や湿地の水底で冬を越した卵は水がぬるんでくる3月ころ孵化しヤゴとなります。
未熟な成虫は雌雄ともに黄褐色をしています。暑いのが苦手なアキアカネのように高原や山などへ避暑に移動するといった大きな移動はしません。オスは成熟すると胸や複眼まで赤くなり、これぞ赤とんぼといった感じです。
避暑から下りてきて赤く成熟したアキアカネの群れは季節の風物詩ですが、ナツアカネは暑い夏も身近にいます。8月に入るとオスは次第に赤みが増してきて、メスの中にも腹部の上面が赤くなるものがいます。
アキアカネを一回り小さくしたようなナツアカネ、数も少なめで大きな群れでの移動もあまりなく注目されることが少ないですが、夏の森で静かに成熟しながら秋を待っています。よく似ているナツアカネとアキアカネ。今平地で見られるのはナツアカネです。
止まっていればそっと近づいておなかの模様を見てみましょう。腹部中央の黒い線が直角に切れたようになっていればナツアカネです。成熟してもアキアカネは全身赤くはなりません。9月にもなればオスに関しては全身赤い方がナツアカネなのでわかります。
アキアカネが減ってきているといわれていますが、同じように幼虫期までを過ごすナツアカネも同様に数を減らしているようです。
今年は天候の加減か晩夏から初秋に咲くようなヌスビトハギやユウガギクが7月から咲いています。
暦の上では始まっている秋、アオハダの実はそろそろ赤く色づき始め,ネコハギは地を這い可憐な花を咲かせます。
8月1日から7日までは『スター・ウィーク~星空に親しむ週間~』で、日本全国で天体観望会など星や宇宙に関連するイベントが開催されます。そして今年は8月7日が伝統的七夕。織姫(こと座のベガ)、彦星(わし座のアルタイル)、そして架け橋の白鳥座のデネブ。明るい夏の大三角が空高く輝いています。明るい星も多く旅行やキャンプに出かける機会も多いこの時期、空を見上げてみてはいかがでしょう。空の暗いところでは天の川にかかる夏の大三角が観られることでしょう。

お問い合わせ

埼玉県狭山丘陵いきものふれあいの里センター

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休館日

月曜、祝日の翌日(その日が休日の場合を除く)、12月29日から1月3日

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