国際都市地域間協力(IURC)プロジェクト
更新日:2023年11月10日
国際都市地域間協力(IURC)プロジェクトとは?
国際都市地域間協力(IURC=International Urban and Regional Cooperation Project)プロジェクトは、EUと世界各国の都市がペアを組んで共通の課題解決に向け連携し、対応策を共有することを通じて、持続可能な都市開発を進めていくことを目的とした枠組みです。
所沢市のペアには、前身である「国際都市間協力(IUC)」から引き続き、スロバキア共和国の首都・ブラチスラバ市が選ばれました。プロジェクトの実施期間は2021年から2023年までの3年間で、連携テーマについて、Web会議や相互訪問を通じて交流を行っています。
連携テーマ
- 持続可能な都市づくり
- エネルギーの地産地消
これまでの取り組み
令和5年3月12日(日曜)から3月19日(日曜)まで
所沢市職員3名がブラチスラバ市を訪問し、環境・エネルギー・交通・まちづくり等の取り組みを視察しました。
旧市街地とトラム
ブラチスラバ市の観光地のメインスポットである旧市街では、車両規制が敷かれており、安全な歩行空間を確保しています。また、旧市街以外の市街地はトラムによって行き来することが可能で、早朝から夜遅くまで頻繁かつ低額で運行していることから、利用者にとって快適な交通手段となっています。
旧市街
トラム
市街地の駐車規制
旧市街を出ると自動車の交通量が多く、通勤時間には渋滞が発生していました。また、市街地に大規模な駐車場は少なく、道路脇のスペースに縦列もしくは斜めに駐車している様子が多く見られました。
ブラチスラバ市では、この問題を解決するために、地域住民や車通勤者等にヒアリングをし、駐車状況を分析、歩道にポールや樹木を設置し物理的に歩道に乗り上げられないようにしたり、一時駐車可能な場所にはカメラを設け、15分を超えた場合には罰金を支払う仕組みを導入したりしています。
縦列・斜め駐車する自動車
歩道に乗り上げる自動車
自動車が乗り上げられないように設置したポール
自動車が乗り上げられないように設置した植栽
自転車利用の促進
ヨーロッパでは多くの国が健康増進、交通渋滞の解消、騒音対策等の目的で自転車利用を促進しています。ブラチスラバ市でも、自転車専用レーンや自転車・バス共通レーン、自動車レーンと自転車専用レーンとの間に間隔を設けるなどの整備を進めています。しかし、法規制の変更や関係者との調整に時間がかかり、対策が取られているエリアは限定的です。
その他、地中埋め込み式の太陽光発電LEDライトの整備、シェアサイクルや電動キックボードのステーションの設置が進められています。
自転車・バス共通レーン
間隔が設けられた道路
太陽光発電LEDライト
シェアサイクル
EV充電器の設置
市街地には約250か所のEV充電器が整備されており、約4割を占める急速充電器の設置費用はEUが負担しています。
EV充電器
EV充電器
Krizna streetの再整備
コロナ禍で人通りが少なくなったKrizna streetに活気を呼び戻すため、駐車スペースや歩行空間を整備しました。その過程で、市民や専門家、行政による対話集会を開催したり、様々な世代の市民や障害者、ホームレスなどへのヒアリングやフィールドワークを実施したりして、その結果を計画づくりに反映し、市民参加を促しました。
対話集会
フィールドワークの様子
公営住宅「Fortuna」の整備
低所得者層向け公営住宅「Fortuna」200世帯を対象に市民参加のプロセスを用いながら敷地内の整備を行いました。周辺には駅やバス停が近くになく、住民の憩いの場もないなど、決して住みやすい環境ではありませんでした。また、歩道が無い場所があったり、歩道に自動車が乗り上げて駐車していることも多く、歩行者は車道を歩くしかない危険な状況でした。
こうした課題を解決するため、住民、専門家、行政が課題や現状をマッピングし、ワークショップや対話を繰り返すことで市民参加による計画づくりを進めていきました。
車道を歩く歩行者
マッピングの様子
ビル「Einpark」
米国グリーンビルディング協会が運用する、建物と敷地利用に関する環境性能評価システム「LEED」における最高評価「Platinum」を取得しているビル「Einpark」を視察しました。同様の評価を受けている建物はヨーロッパで2例目です。
複層ガラスや断熱壁・屋根、屋上緑化等でビル内の使用エネルギーを削減。ヒートポンプ、地下水・ドナウ川の水流を冷暖房に活用するなど、ビル全体で省エネの工夫が施されています。こうした取り組みから、「LEED Zero Carbon」も取得しています。
Einpark
冷暖房設備
電動コンポスト
EV充電器
公共集合住宅の改修事業
建築試験研究所(TSUS)が実施した公共集合住宅の省エネ改修事例の説明を受けました。本事業は延床面積3,766平方メートルの公共集合住宅のうち3分の1程度である42世帯を対象としたもので、限られた資金と9ヵ月間という短期間での改修に成功した事例です。
窓・天井・屋根・壁の断熱改修、ヒートポンプを活用した冷暖房設備、太陽熱利用、太陽光発電、アスベストの除去等、複数の技術を駆使し、47%のエネルギー削減と117トンCO2/年の二酸化炭素削減を実現しました。
スマートシティプロジェクト「Seestadt Aspern」
隣国オーストリア共和国の首都・ウィーン市街地から地下鉄で約40分の距離に位置するSeestadtの飛行場跡地で開発が進んでいるスマートシティプロジェクト「Seestadt Aspern」を視察しました。同プロジェクトは、都市計画段階から抜本的に低炭素化を進めるモデルケースとして進められており、2019年時点で約8,000人が居住し、開発が完了する予定の2030年には25,000人以上の居住を見込んでいます。
Seestadt Aspernでは、二酸化炭素排出量の削減のために自家用車の保有を減らし、公共交通機関の利用を促進しています。そのため、域内には地下鉄駅やバス網も整備されており、自動運転車の実証実験も行われています。
エネルギーの分野では、太陽光発電や太陽熱利用をはじめとした再生可能エネルギーへの転換と同時に、エネルギーの効率的な送電を可能とするスマートグリッドやICT(情報通信技術)を導入しています。
Seetadt Aspern(出典:Tovatt Architects and Planners)
Seestadt Aspernの建築物
街路樹に関する取り組み
市内の道路沿いには街路樹が整備されており、その周囲に低木が植えられている箇所があります。これは、地面の保水力を高め、街路樹の生育を助ける働きがあり、過去の所沢市での視察を参考に実施されている事業です。街路樹や低木は現在生育中ですが、街路樹が十分育てば、日光を遮り、歩行者やバス停の日除けとして活用できることを期待しているとのことです。
街路樹と周囲の低木
最盛期の様子
令和4年9月5日(月曜)から9月7日(水曜)まで
ブラチスラバ市から2名が来訪し、「エネルギーの地産地消」をテーマに視察を行いました。
視察内容
- ところざわサクラタウン
- ZEHモデルハウス
- 上下水道局庁舎内太陽光発電設備
- フロートソーラー所沢
- 北岩岡ソーラーシェアリング
- 多聞院
- トトロの森1号地
ところざわサクラタウンの武蔵野ミュージアムを視察
市内のZEHモデルハウスで説明を受ける様子
上下水道局で現在の発電量を確認
フロートソーラー所沢を視察
北岩岡ソーラーシェアリングで説明を受ける一行
前市長、副市長と面会
トトロの森1号地を散策
IURCデータ集
IURC Knowledge Library【英語】(外部サイト)
世界各都市の取組事例の中に、当市の取組事例も掲載しています。
"Case Study Bratislava-Tokorozawa"でご検索ください。
お問い合わせ
所沢市 環境クリーン部 マチごとエコタウン推進課
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電話:04-2998-9133
FAX:04-2998-9394