令和4年9月号 川畑菜奈さん(デフサッカー・デフフットサル選手)
更新日:2022年8月27日
プロフィール
川畑菜奈 さん
(市内在住)
ポジションはミッドフィールダー、ディフェンダー、フィクソ。
ケイアイスター不動産株式会社所属のパラアスリート集団「ケイアイチャレンジドアスリートチーム」のメンバーとして、パラスポーツの認知向上の活動にも携わる。
好物は「お母さんの肉じゃが」。
デフサッカー・デフフットサルで世界に挑戦し続ける
「デフ(耳が聞こえない)」+「オリンピック」で「デフリンピック」。パラリンピックより歴史は古く、1924年の第1回大会から100年近い歴史を誇る。
市内在住の川畑菜奈さんは、日本の女子サッカーチームの初出場以来、3回の大会に連続出場する日本のデフサッカーを代表する選手のひとりだ。
北海道出身。サッカー選手だった父親の姿を幼い頃から見てきたが、自分もやろうとは思わなかった。川畑さんがサッカーを始めたのは、中学1年の時。ろう学校で体育系の部活動の選択肢が3つしかなかったからだった。
走るのはそれほど好きではないから、陸上部は除外。女子生徒のほとんどがバドミントン部を選択する中で、「みんなとは違うことをやりたい」とサッカー部へ。後に北海道のろう者サッカー協会の役員となる父親でさえ「まさかサッカーを選ぶとは」と驚いたという。
もともと体を動かすことが大好き。サッカーにのめり込んでいたある日、思いがけない話を聞く。ろう者サッカーの女子日本代表チームができるというのだ。憧れと同時に、挑戦してみたい!という強い思いが湧き上がり、合宿に参加。見事チーム入りを果たした。
2009年、日本代表チームは台湾で開催された第21回デフリンピックに初参加。大学1年だった川畑さんの初の大舞台だ。「ワクワクが大きかったけれど、体の大きな海外の選手を相手に思うようなプレーができず、悔しい思いをしました」。以来、川畑さんは日本代表選手として数々の国際大会に出場してきた。
今年の夏は、デフリンピックブラジル大会に出場。3回目のデフリンピックで確実にレベルアップの手応えを感じながらも、「体格差を埋めるためにもっとフィジカルや戦術で勝負できるようにしないと」と表情を引き締める。
現在は大学時代に始めたデフフットサル選手としての活動がメイン。コートが小さい分、試合が目まぐるしく展開する中で、4人の選手が音や声に頼らずアイコンタクトで動く。コート内では、目が合うだけで意思疎通ができるという。「アイコンタクトで4人の息がぴったり合い、思い通りの流れでゴールにつながった瞬間の快感。見ている人たちも楽しいと思います」と目を輝かせた。
デフスポーツの環境は、認知が低い分まだまだ厳しい。多くの人に実際に見て、魅力を知ってほしいと語る川畑さん。来年予定されているワールドカップ大会や、デフリンピックの競技にフットサルが加わる日を見据え、当面フットサルに専念するという。デフフットサルで世界一に。川畑さんの夢と挑戦は、まだまだ続く。
(取材:加賀谷)
※写真は、デフフットサル ワールドカップ(2019年)出場時の川畑さん
(提供:一般社団法人 日本ろう者サッカー協会)
ケイアイチャレンジドアスリートチーム
「日本一挑戦するアスリートチーム」を理念とし、障がいを乗り越えるだけでなく、さらなる高みを目指してチャレンジを続けるケイアイスター不動産株式会社所属のパラアスリート集団。
トップアスリートとして高いレベルでのトレーニングと競技を続けながら、同社内の研修講師や商品開発などの業務に携わるほか、行政や教育機関とのイベントや体験会、講演などパラスポーツ認知向上のための活動を行っている。
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