令和元年8月号 西久保正一さん(重松流祭囃子保存会会長)

更新日:2019年7月27日

プロフィール

西久保にしくぼ 正一しょういちさん

重松流祭囃子の保存と伝承、後継者の育成などを目的に1967年に設立された同保存会の第7代会長。
金山町で生まれ育ち、28歳で重松流を習い始める。
40年以上経つ今も、毎日の笛の練習は欠かさない。
元所沢市副市長。

50年後へ引き継がれる重松流祭囃子を夢見て

市民ならば、ぜひ知っておきたい所沢の宝がある。
「重松流祭囃子」と書いて、読みは「じゅうまりゅうまつりばやし」。
江戸の末期、所沢生まれの古谷ふるや重松じゅうまつによって編み出された祭囃子だ。

秋の街を彩るところざわまつりの山車の上で演奏される威勢の良いお囃子、というと思い当たる人も多いかもしれない。

「ジャズのアドリブのように即興性に富んでいて、勢いや威勢の良さが特徴。変化や即興を否定しないんです」。
重松流の魅力を教えてくれたのは、保存会の会長を務める西久保 正一さん。お祭りの合図の花火を聞いただけで血が騒ぐという祭り好き、お囃子好きだ。
「5 人の囃子方と踊り手の息がぴたりと合って一体となる瞬間は、最高です」

父親がお囃子をしていたこともあり小さい頃から慣れ親しんできたが、本格的に習い始めたのは28 歳の時。
当時住んでいた金山町のお囃子が鈴木流から重松流に転向し、若手育成のために集められたメンバーの一員となった。
笛を担当し、保存会から派遣された明治生まれの師匠に、厳しくも温かい指導を受けた。

地域に根付くお囃子。だが、どの地域にも囃子連があるわけではない。
市役所在職中、お囃子をしていた仲間たちとともに、住んでいる所に関わらず重松流をやりたい職員が誰でも入れる「役鼓連」を結成した。
以来、役鼓連は、彩の国まごころ国体や高校総体、姉妹都市の歓迎会や姉妹都市への交流訪問など、所沢と重松流を内外にPRする役目も果たしてきた。
多くのメンバーやOBが、それぞれの地域で指導者や地域を担う人材として活躍している。

1969 年6 月に重松流が市の無形民俗文化財の指定を受けてから、今年で50年。
大切に守り、受け継いできた地域や保存会の人々の努力の賜物でもある。
次世代への継承をテーマとした記念大会を、この6 月に盛大に開催。
主役となる子どもたちが、重松流をこれからも守り伝え、次の50 年後も再び記念大会を開催することを力強く宣言した。

今年もところざわまつりの季節がやってきたら、それぞれの山車で繰り広げられるお囃子に注目してみよう。
「即興性は重松流の醍醐味。伝統を重んじつつ、その時の互いの気持ちを感じ取りながら演じられる祭囃子や舞が、腕自慢たちによって生み出されるのを楽しんでほしいです」と西久保さんは語る。
耳を澄ませば、各囃子連の演奏の中に、先代たちの想いと、世代を超えて引き継がれていく音色をきっと感じられることだろう。

地域の人たちに愛され伝えられて、50 年後の所沢の空の下にも重松流祭囃子と子どもたちの楽しそうな掛け声が響き渡る。
そんな未来を、西久保さんは夢見ている。
(取材:加賀谷)

記念大会の一幕。各囃子連の半纏が勢ぞろい


市の無形民俗文化財指定50年を記念して作成された新しい半纏(左)は、保存会の若手によるデザイン。右は初代の半纏。

Web版こぼれ話

西久保さんが伝授!重松流祭囃子の魅力

重松流祭囃子の特徴は威勢のよさとテンポの良さ、小太鼓2つ(地と絡み)の掛け合いにあるといえます。
重松流祭囃子の楽曲には、宮昇殿、四方殿、鎌倉、師丁目、仁羽、屋台囃子、三番叟、カンノカンノ、数え歌などがあります。
その一曲一曲は起承転結の構成がしっかしとした、極めて精緻で高度な音楽性を備えています。
重松流祭囃子の醍醐味は、なんといってもその即興性にあります。
お互いの気持ちを感じ取り、今この時、自分が感じたことを即座に表現するのです。
それを許し、奨励しているのが重松流なのです。

西久保さんが伝授2!ところざわまつりでの重松流の楽しみ方

重松流の特徴といわれる小太鼓2つ(地と絡み)の掛け合い。
地は、主体となるリズムを反復演奏する。絡みは、間を感じ取りながら即興的に撥を打ち込んでいきます。
屋台囃子では、まさにその真価が発揮され、2人の小太鼓が存分に叩き分けます。
そして、低音と迫力の演出、ベースの役割を果たす大太鼓、
曲の高温アクセントを効果的に表現する摺り鉦、
メロディの演奏と指揮を担当する笛、そして舞が一体となって、
山車という限定された舞台で極めて効率的に奏でられるのです。
また、重松流祭囃子でも、伝承の系統の違いから、
威勢がよく速い囃子、中ぐらいでゆったりした囃子など、それぞれ特徴を持っています。
そんなことを感じながら観ていただくのも楽しいと思います。
心のふるさと「ところざわまつり」。秋晴れの下、街に重松流祭囃子が華やかに響きわたります。ご期待ください。

お問い合わせ

所沢市 経営企画部 広報課
住所:〒359-8501 所沢市並木一丁目1番地の1 高層棟3階
電話:04-2998-9024
FAX:04-2994-0706

a9024@city.tokorozawa.lg.jp

本文ここまで

サブナビゲーションここから