令和5年3月号 下田 幸子さん・小野 結花さん(ハンドメイドイベント企画・運営)
更新日:2023年2月24日
プロフィール
小野結花さん(左)と下田幸子さん(右)
下田 幸子さん・小野 結花 さん
(市内高校出身)
市民文化センター・ミューズを「ホーム」に、25年以上続くハンドメイドイベントを企画・運営する「セルフィッシュハンズ」の2人組。
運営に専念する下田さんはミュージカル俳優を目指した元劇団員。出店もする小野さんは、豊かな自然を求めて5 年前に長野に移住。埼玉との二拠点生活を送りながら活動を続ける。
気づけば25年。人をつなぐハンドメイドイベント
開場までずいぶん時間があるのに、市民文化センター・ミューズの展示室前は長蛇の列。待つのも苦にならない様子で和やかに談笑している。
「常連さん同士で仲良くなって、開場待ちのおしゃべりも楽しみにいらっしゃる方もいるんですよ」。明るく笑う下田幸子さん。小野結花さんとともに、長年続くこのハンドメイドイベントを運営する「セルフィッシュハンズ」を主催する。
ともに所沢西高校の1期生。同級生にもかかわらず、親しくなったのは卒業後のバイト先だった。どちらももともと「のめり込む」性分。共通の趣味・ダンスにどっぷりはまって仲を深めた2人が次にはまったのが、当時ブームになっていたフリーマーケットだった。毎週末、あちらこちらの会場に足を延ばして出店。家の不用品などを売りまくり、とうとう売り尽くしてしまったが熱は冷めない。売るものがないなら作ればいい!と趣味だったアクセサリーやステンシル雑貨などの手作り品を出品するようになった。
不用品・中古品が主体のフリーマーケットでは、手作り品は不本意な値下げ交渉や作品を雑に扱われることも。しかし当時の「手作り市」は高級なイメージが強く、趣味の延長の2人には出店のハードルは高かった。「売るものがない」の次は「売る場がない」。2人は出店の場も自分たちで作ることにした。
天候の影響を受けない会場を探して見つけたのが、ミューズの展示室。1997年4月の第1回以来、「手作り雑貨マーケット」は回を重ね、気づけば昨年2022年4月に25周年・100回目の開催を迎えた。出店者は延べ2万人を超える。
心を込めて作った自分のオリジナルの作品を求めてくれる人がいる喜び、世界に1つのお気に入りや作り手との出会いを求める人たち。東日本大震災直後も大雪の日もコロナ禍でも、会場を訪れる人が絶えることはなかった。
「ハードルを低く間口は広く」がセルフィッシュハンズの原則だ。ルールを守れば、誰でも先着順で出店可能。ハンドメイドしているけれど出店の場がないという人も、ここならかなう。
そしてここは、人をつなぐ場でもあり続けた。25年間出店する女性は、「この場が生活の張り合いなの」と朗らかに笑う。母親に手を引かれて来ていた子どもが成長して出店者になるなど、四半世紀の時の中で、出店者も来場者も3世代に渡る。
近年は、屋内蚤のみの市「ナチュくら市」やハンドメイド作家のワークショップなども展開。「1人ではできなかったし、3人では続かなかった。この2人で、出店者も来場者も心から楽しめる場、『何かやりたい』人の背中を少しだけ押す場をゆるく長く作り続けたいです」。そう語る25年来の相棒の笑顔は、どこまでもナチュラルだった。
(取材・加賀谷)
WEB版こぼれ話
「いかに楽しんでもらえるか」がセルフィッシュハンズの想い
セルフィッシュハンズのイベント会場を覗くと、温かい雰囲気に包まれます。
それは「売る場・買う場」を超えた人が人とつながり、オンリーワンの手作りの品に出会う場所。
「どれだけ楽しんでもらえたかは、来場者の数より滞在時間がバロメータ」。下田さんと小野さんはそう語ります。
来場者には、ゆっくりとおしゃべりを楽しみながらじっくり品定めをする人や、ランチをはさんで午後に再び会場を訪れる人たちも。
四半世紀も前から人とモノの出会いをつむいで続く、セルフィッシュハンズのイベント。無理なく長く、これからも続いていってほしいですね。
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